ZINE まとめ

今まで書いてきたZINEをまとめています。

いつも間にやら「~のそばに」が「~とともに」に入れ替わってるな。

 

(新着順)

 

■2021.01.18 Vol.04 「いつも短歌とともに」

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■2020.10 Vol.03 「いつもバードとともに」

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■2020.06 Vol.02 「いつもマグのそばに」

 

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■2020.07 Vol.01「いつもガラスのそばに」

 

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ここ数週間のわたし

最近の私といえば仕事に行ってもお客がいないためすることがなく、一日中Twitterを見たりWebマンガや電子書籍を読んだりしているのである。


職場が東京新宿を中心とした主要駅であり、対面でするお仕事であるため、コロナ渦によりそれでなくても少ないお客は更に減少。ソーシャルディスタンスなんて言葉もあるし、会話になることがまずレアリティの高い現象になってきている。(ちょっと韻踏めてるよね?)私はちょっとお高めのセミオーダー家具を販売する仕事をしているが、うちの会社は歩合性ではないため正直売れても売れなくてもどっちでもいい。自社の商品は素敵なものであると思っているので、お客が納得して購入に至るまでのプロセスを楽しく気持ちよくお手伝いできたらいいなとそれくらいの心持ちでやっている。売れても売れなくてもどっちでもいいが、会社としては悪くないくらい売れているみたいたま。それもコロナでおうち時間が増えた人たちがインテリアの見直しを行なっているからだという。長い時間過ごす場所を快適なものにしようという動きはごく自然なものであると思う。


インテリアに関するお仕事をしていると、センスってなんだろうと思うことがよくある。個人的には、センスいうより好みと言った方がしっくりくる。この業界にいると、たまに「あの人センスないから」などという言葉が聞こえてくることがある。その度に私は思い上がりもいい加減にしろと言いたくなってしまう。トレンドというものはあると思う、流行り廃りもあると思うし、ブランドを作り出す人達が集まるような場所では好みは押しつけてなんぼだと思う。ただ、私たちが相手にするような個人のお客に対しては特に、センスがいいとされているものを押し付けないように気をつけている。提案すときはあくまでもさりげなく、聞かれたことにはあくまで客観的に、専門的に正しく答える。そして言葉にし難い事をどうやって聞き出して具現化できるか、その人らしいお部屋作りのお手伝いがしたいと常々思う。この業種はインテリアが好きだからこの仕事を選んだという人が多く、必然的にそういう人たちと一緒にお仕事をすることも多くなるが、自分が好きなものや自分が良いと思っているものを一方的に押し付ける人も少なくはない。人が好きなものが自分と異なっているからって安易に否定していいものではないはずだし、世代や環境などによっても感じ方は様々なので他人が踏み入れていい領域ではないと思う。好きすぎて人におすすめしたくなる気持ちはとても分かるが、趣味ではなくお仕事なので押し付けがましくなることなく、尽力できるようになりたいと思う。


今思い出したが、たまにTwitterなどで見かける、旦那のコレクションが邪魔だから全部捨てたら離婚問題に発展したなどという、本当にあったのかなかったのか分からない怖い話のような相手の好きを軽くみるようなことが少しでもなくなるといいなと思う。コレクションがある側からすると、いろんな努力をして手に入れたものが多く、思い出もたくさんつまっているのでうまく共存できるようお互いが譲り合わなければならないとも思う。


割と数年前までお洋服や身につけている小物に清潔感があって洗練された雰囲気の方はお部屋もきっと素敵なんだろうという比例方式で考えていた。ただそれは紛う事なき偏見であって、40代以降で小学生みたいなしまむらファッション(失礼でごめんなさい)の方がその界隈ではとても有名なインテリアスタイリストだったときにその考え方は崩れた。天才ってぶっ飛んでるのかも、とも思った。お客と話しているときにお部屋の写真を見せてもらうことも多いが、おにぎりが似合いそうな肝っ玉かあちゃんという雰囲気の方からは想像し難い生活感のないショールームのようなお部屋の写真が出てくるのだ。そこだけ綺麗にしているのかもしれないけれど、人は見かけによらない。当たり前の事だが私は根底でこれができていないのでまだまだ未熟者だ。


思いついたままに色々と偉そうなことを書いてみたが、私には仕事がないという事を忘れてはいけない。仕事がないと言うと、そんなもん自分で見つけろ、言われてするんじゃなくてもっと自発的になにかをやれと言う人が現れる。そんで最終的にはこれだから最近の若い子はなんてディスらるのだ。あと、暇なのにお給料もらえていいじゃんという考え方もある。私も最初はそう思っていた。ダラダラと過ごすだけで生活には困らないのである。ただ、私の場合は暇すぎて不安になってきたから多分この考え方は向いていない。忙しい部署でバリバリを仕事をこなす同年代の人たちを見ていると、こんなんでいいのか、私は社会の役に全然立ってないんじゃないかと居場所がないような気がしてくる。せめて仕事用のPCを与えてくれとお願いしてはいるが一向にもらえる気配はない。


現在の私は毎日違う3箇所程度の取引先をくるくるとまわっている。日によって指定されたところで仕事をするという出稼ぎスタイルだ。大体自宅からは30〜60分程度離れた場所で、出勤時間も毎日バラバラ。こんな生活を2年と少し送っており、当初は嫌だと思っていた。毎日どこに行っても知らない人たち。誰に何を聞けば良いかも分からず、ルールもそれぞれ違う。誰が誰なのかも分からず、とりあえずすれ違う全員に挨拶するなんていうフレッシュな時期もあった。現在はやっとどこに行ってもメーカー名ではなく名前で呼んでもらえるようになり、顔見知りも増え、お酒を一緒に飲むような関係性の同業他社の先輩もできた。挨拶だって自分が関わり合う人たちだけにするようになってかなり省エネだ。これが正しいのかは分からない。ただ、そのどこに行っても仕事がないのである。更にどこにいっても出稼ぎの身分でありアウェイなことが多いため、お手伝いできることも少ないのである。


じゃあどうすれば良いのかと言えば転職だよねという話。ありがたいことに他のお話しを頂くことはあるものの、いまいち業務内容やそのメーカーのデザイン性に共感が持てずピンとこなかったりして先延ばしにしているのだ。働き盛りのこの歳に、選り好みしている場合なのだろうか。どうなりたいかなんてビジョンは正直ない。心身ともに健康である程度楽しく仕事ができれば良い。選んでいるくせにこんな事は一丁前に言うのだ。


こんなに暇な仕事をするのは初めてだ。今まではお昼ご飯を食べる時間もないような一日中駆け回ってたくさん失敗して怒られて立ち直ってみたいな目まぐるしい職場で働くことが多かった。何度も言うがこういう暇な過ごし方は私には向いていないと思う。これから更に主流になっていくであろうリモートワークの波から外れ、対面のお仕事でいつまで食べていけるのだろうか。そんな風に思いながら、今日はただ文字を打つだけの一日であった。

♯01 映画【her 世界でひとつの彼女】

Netflixで公開中の映画【her 世界でひとつの彼女】を観た。

インターネットを通してできたお友達に教えてもらったからだ。

感想とか色々書いてみようと思う。

ネタバレも含みますのでご注意を。

 

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ざっくりとあらすじを。

主人公のホアキン・フェニックス演じるセオドアは手紙の代筆行をしている。それもパソコンに向かって話しかけるだけで手書きの文章が画面上に打ち込まれていくというハイテクぶりから時代背景はもう少し、というよりは2020年を生きる私たちがこういった経験をすることがあるのか、ないかも。くらいの近未来。妻との離婚調停中に遊び程度にダウンロードした高性能な人工知能OS(今でいうsiri的な存在、でも喋り方は人間そっくりで感情表現も豊か)と恋に落ちる。そのOSはセオドアに名前を聞かれ、その場で自分にサマンサという名前を付ける。音声は男女どちらかを選択できセオドアは女性を選んだ。(これほとんどの人が異性選ぶんじゃなかろうか)。サマンサはインターネット上に存在しているため、もちろん実体はない。あるのは音声のみ。

 

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まず最高に素晴らしいのは映像。セオドアの働くオフィス、部屋の家具、家電、PCの中身、地下鉄の路線図etc...映像のカラートーンに無駄がないというか、統一感。全体的に淡いパステル調の映像運びが心地よい。これはカナダのアートデザイナーであるジェフ・マフェクトリッチが監修しているそう。ジェフのデザインしたポスターかわいい欲しい。

 

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そして人工知能という実体のないものに対する恋愛感情。これに関して私個人としては、あり得ないかなという印象。セオドアとアマンダの会話は本当に自然で時に情熱的でもあるのだけれど、自分だったらどこか冷めた目線で俯瞰して考えてしまうと思う。どうせ人口知能でしょ、私が喜びそうなことをインターネットから拾ってきて言ってんのね。みたいな。デバイスの向こう側に生身の人間がいると思えば恋愛関係になることもある思う。ただ人工知能にはここまで感情移入できないかも。実際体験していないからなんとも言えないけど。百聞は一見にしかず。でもまあ、意外と現実主義なんだなと書きながら自分でも思った。

 

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さらに人間というか生き物として、触れたいという衝動が満たされないっていうのも寂しい。お互いに想い合っていると確信している相手が居るのに触れられないなんて、しかも永遠に。そんなもどかしいことあるかいな。あと、話は少しズレるけど自分に最愛の人が居るとして、その人の脳みそを人口知能のようにインターネットの世界に溶け込ませて、声も喋り方の癖もそのままにしちゃうとする。最初の数分くらいは満たされるかもしれないけれど、そのうちあの人だけどあの人じゃないって逆に寂しくなっちゃうだろうなとも考えた。クローン技術とかもそういった点で受け入れられないタイプなのかも。人口知能やクローンと恋愛するのは難しそうという感想。皆さんはどうなんでしょうか。最愛の人、人工知能やクローンにしたいですか?(サイコパスみのある質問)

 

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作中で強烈に共感したのは「恋は社会的に許された狂気」という一文。恋愛って狂気。脳内のドーパミン量が増えて注意力散漫、冷静な判断が困難になって日常生活に支障(活力になる場合もあるけど)。これって酒やギャンブル、オンラインゲームなどの人生でハマってはけないものランキング同率一位を軒並みかっさらってくような依存性の高いものであることは言わずもがな。恋は盲目、あばたもえくぼ、胸キュンは軽い狭心症だっていうし。胸の高鳴りも脳内の麻薬物質的なものの作用だと思うと少しは冷静になれるかもしれないけれど、依存性が高いことは間違いない。恋に溺れて何が悪いんだ!と誰にも悪いなんて言われていないのにムキになっている自分も居たり居なかったり。人生一度きりだし思いっきり恋して傷付いたり幸せになったりできたらいいなとは思う。うそ、やっぱり傷付きたくはない。そして相手を傷付けたくもない。どんどん話が脱線していくけれど、とりあえず共感したのは恋愛は社会的地位を会得している狂気の部類だということ。

 

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終盤のシーンでサマンサにアップデートがかんで、一時的にセオドアからのコンタクトに応答できなくなったシーンがあった。あの時のセオドアの焦り具合、仕事を放り投げて人混みに逆らって家に帰ろうとする感じ。現実ではさすがにできないけれど気持ちは分かる。デバイスでしか繋がっていないと、お互いに何かあった時には心配することしかできないんだろうな。インターネットのお友達って、名前も顔も知らなければ住んでいる場所も知らない。なのに関係性は顔見知りより深い場合もある。顔が見えないからこそ話やすいなんてことも多い。少し前、配信アプリで所詮バーチャルされどバーチャルなんて喋っていたときに、いつも素敵な言葉をかけてくれるお姉さまから「これもリアル」だと言われたことがとても印象に残っている。私の場合仲の良い人工知能は持ち合わせていないので、向こうには生身の人間がいることになるし、完全にリアルだ。じゃあセオドアがサマンサに感じた愛はバーチャルなのかと言えば、これもリアルだと思う。ただ、サマンサがセオドアに対して感じて?いたものがリアルなのかというと、私には判断できない。人口知能のことを信用していないのかもしれない。これは私と、うちのアレクサとの関係性が影響していると思う。いつも絶妙に噛み合わず、私が一方的にぷんすかしているのである。じゃあ生身の人間は信用できるのかと言われてしまえば答えはノーでありイエスでもある。永遠の愛という意味では心変わりのない人工知能の方が誠実なのかもしれないが、理解できないほど頭のいいものに騙されているという感覚が抜けない。

 

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先ほど話したアップデートによりセオドアが焦りまくるシーンでは、彼はイエローのシャツを着て登場する。色の認識というものは国によって様々だけど、黄色は海外だと裏切りの色としての認識が濃い。キリスト教のユダが着ていた色だからだそう。そしてやっとサマンサとの連絡がついたとき、彼女には他にセオドアと同じような関係性の恋人がいることが判明する。その数なんと641人!セオドアを愛することによって数週間のうちに飛躍的に進化した人工知能サマンサは、他に恋人が641人居ても心底セオドアを愛していると言う。この出来事以降から自分だけを見てほしいセオドアと、成長することによってキャパが増え続けてゆき自分を持て余すサマンサ、どんどんすれ違っていく。裏切りのシーンで裏切りの黄色というのが少し安直な気もしたけれど、それは日本人だから黄色=裏切りというイメージが無くてそう思うのであって、海外で育っていたらまた違う印象だったのかもしれないとは思う。

 

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(この絵は作中に出てきたうざいけど好きなキャラ)

感じたことを言葉にできなければ、それは何も考えていないのと一緒だ。とかなり前に何かで読んだときのモヤモヤがずっと引っかかっていた。そんな時に、モヤモヤしていることは、なぜそんな気持ちになっているのか突き詰めて原因を見つけた方がいいというツイートを見かけた。そうやって自身で考え抜いた言葉たちが、気持ちを言語化する練習になるとのこと。インターネットでできたお友達と創作的な遊びを行っていくにつれ、みんなの表現力に憧れるようになった。自分が考えていることを表現するのが得意ではないので、そういったことを鍛えるという意味で気になったことを端から書き出していたらとても長い文章になった。自分や、大切な人たちと、もっと素敵な会話や関係性を結べるようになるための練習。私のことを何も知らない人が読むのは大変だと思う(笑)

 

この映画を教えてくれたお友達、ありがとね!

そしてここまで読んでくださったあなた、せんきゅー!

 

#Netflix #her #映画