ここ数週間のわたし

最近の私といえば仕事に行ってもお客がいないためすることがなく、一日中Twitterを見たりWebマンガや電子書籍を読んだりしているのである。


職場が東京新宿を中心とした主要駅であり、対面でするお仕事であるため、コロナ渦によりそれでなくても少ないお客は更に減少。ソーシャルディスタンスなんて言葉もあるし、会話になることがまずレアリティの高い現象になってきている。(ちょっと韻踏めてるよね?)私はちょっとお高めのセミオーダー家具を販売する仕事をしているが、うちの会社は歩合性ではないため正直売れても売れなくてもどっちでもいい。自社の商品は素敵なものであると思っているので、お客が納得して購入に至るまでのプロセスを楽しく気持ちよくお手伝いできたらいいなとそれくらいの心持ちでやっている。売れても売れなくてもどっちでもいいが、会社としては悪くないくらい売れているみたいたま。それもコロナでおうち時間が増えた人たちがインテリアの見直しを行なっているからだという。長い時間過ごす場所を快適なものにしようという動きはごく自然なものであると思う。


インテリアに関するお仕事をしていると、センスってなんだろうと思うことがよくある。個人的には、センスいうより好みと言った方がしっくりくる。この業界にいると、たまに「あの人センスないから」などという言葉が聞こえてくることがある。その度に私は思い上がりもいい加減にしろと言いたくなってしまう。トレンドというものはあると思う、流行り廃りもあると思うし、ブランドを作り出す人達が集まるような場所では好みは押しつけてなんぼだと思う。ただ、私たちが相手にするような個人のお客に対しては特に、センスがいいとされているものを押し付けないように気をつけている。提案すときはあくまでもさりげなく、聞かれたことにはあくまで客観的に、専門的に正しく答える。そして言葉にし難い事をどうやって聞き出して具現化できるか、その人らしいお部屋作りのお手伝いがしたいと常々思う。この業種はインテリアが好きだからこの仕事を選んだという人が多く、必然的にそういう人たちと一緒にお仕事をすることも多くなるが、自分が好きなものや自分が良いと思っているものを一方的に押し付ける人も少なくはない。人が好きなものが自分と異なっているからって安易に否定していいものではないはずだし、世代や環境などによっても感じ方は様々なので他人が踏み入れていい領域ではないと思う。好きすぎて人におすすめしたくなる気持ちはとても分かるが、趣味ではなくお仕事なので押し付けがましくなることなく、尽力できるようになりたいと思う。


今思い出したが、たまにTwitterなどで見かける、旦那のコレクションが邪魔だから全部捨てたら離婚問題に発展したなどという、本当にあったのかなかったのか分からない怖い話のような相手の好きを軽くみるようなことが少しでもなくなるといいなと思う。コレクションがある側からすると、いろんな努力をして手に入れたものが多く、思い出もたくさんつまっているのでうまく共存できるようお互いが譲り合わなければならないとも思う。


割と数年前までお洋服や身につけている小物に清潔感があって洗練された雰囲気の方はお部屋もきっと素敵なんだろうという比例方式で考えていた。ただそれは紛う事なき偏見であって、40代以降で小学生みたいなしまむらファッション(失礼でごめんなさい)の方がその界隈ではとても有名なインテリアスタイリストだったときにその考え方は崩れた。天才ってぶっ飛んでるのかも、とも思った。お客と話しているときにお部屋の写真を見せてもらうことも多いが、おにぎりが似合いそうな肝っ玉かあちゃんという雰囲気の方からは想像し難い生活感のないショールームのようなお部屋の写真が出てくるのだ。そこだけ綺麗にしているのかもしれないけれど、人は見かけによらない。当たり前の事だが私は根底でこれができていないのでまだまだ未熟者だ。


思いついたままに色々と偉そうなことを書いてみたが、私には仕事がないという事を忘れてはいけない。仕事がないと言うと、そんなもん自分で見つけろ、言われてするんじゃなくてもっと自発的になにかをやれと言う人が現れる。そんで最終的にはこれだから最近の若い子はなんてディスらるのだ。あと、暇なのにお給料もらえていいじゃんという考え方もある。私も最初はそう思っていた。ダラダラと過ごすだけで生活には困らないのである。ただ、私の場合は暇すぎて不安になってきたから多分この考え方は向いていない。忙しい部署でバリバリを仕事をこなす同年代の人たちを見ていると、こんなんでいいのか、私は社会の役に全然立ってないんじゃないかと居場所がないような気がしてくる。せめて仕事用のPCを与えてくれとお願いしてはいるが一向にもらえる気配はない。


現在の私は毎日違う3箇所程度の取引先をくるくるとまわっている。日によって指定されたところで仕事をするという出稼ぎスタイルだ。大体自宅からは30〜60分程度離れた場所で、出勤時間も毎日バラバラ。こんな生活を2年と少し送っており、当初は嫌だと思っていた。毎日どこに行っても知らない人たち。誰に何を聞けば良いかも分からず、ルールもそれぞれ違う。誰が誰なのかも分からず、とりあえずすれ違う全員に挨拶するなんていうフレッシュな時期もあった。現在はやっとどこに行ってもメーカー名ではなく名前で呼んでもらえるようになり、顔見知りも増え、お酒を一緒に飲むような関係性の同業他社の先輩もできた。挨拶だって自分が関わり合う人たちだけにするようになってかなり省エネだ。これが正しいのかは分からない。ただ、そのどこに行っても仕事がないのである。更にどこにいっても出稼ぎの身分でありアウェイなことが多いため、お手伝いできることも少ないのである。


じゃあどうすれば良いのかと言えば転職だよねという話。ありがたいことに他のお話しを頂くことはあるものの、いまいち業務内容やそのメーカーのデザイン性に共感が持てずピンとこなかったりして先延ばしにしているのだ。働き盛りのこの歳に、選り好みしている場合なのだろうか。どうなりたいかなんてビジョンは正直ない。心身ともに健康である程度楽しく仕事ができれば良い。選んでいるくせにこんな事は一丁前に言うのだ。


こんなに暇な仕事をするのは初めてだ。今まではお昼ご飯を食べる時間もないような一日中駆け回ってたくさん失敗して怒られて立ち直ってみたいな目まぐるしい職場で働くことが多かった。何度も言うがこういう暇な過ごし方は私には向いていないと思う。これから更に主流になっていくであろうリモートワークの波から外れ、対面のお仕事でいつまで食べていけるのだろうか。そんな風に思いながら、今日はただ文字を打つだけの一日であった。